36年2015/12/01 11:12

もう36年ですか。

36年前の12月1日も、よく晴れた日で、土曜日でした。
私は28歳で、ツレアイは26歳。
日本の首相は大平正芳で、合衆国大統領はジミー・カーター。イラン革命が起きた年で、ソ連がアフガンに軍事介入した年でもあった。
私は新聞社の横浜支局員で、ツレアイは出版社で雑誌編集者だった。

何もたいして変わっていないような気がするけれど、あの時、自分が医者になって銀座で開業しているなんて夢にも思わなかったし、ツレアイが子ども二人を連れて米国へ行ってしまうなんてことが起きるとは想像もしなかった。まあ、爆弾と地雷が結婚したようなもので、よく続いたもんだと思う。

本日、結婚記念日。
いつものように、ツレアイが寝ている間に家を出て出勤。

訃報2015/12/01 20:56

医学部の同級生が死んだ。
仕事中に倒れて戻らなかったようだ。
殉死と言えるだろう。

まだ50歳前だったはずだ。

卒後20年余り、一度も会っていない。
在学中は、元気で剽軽で、一番長生きしてもおかしくないタイプ。
でも映画だと、そんなヤツがぽっくり死んでみんな呆然とする、
そんな役回りがぴったりのヤツだった。

都合がつけば、葬儀には出ようかと思う。

医者になって20年余り、みんながむしゃらに走ってきたはず。

とむらい、ねぎらう機会が、あってほしい。

葬儀2015/12/02 15:23

黒い礼服の上にコートを着て出勤。

急死した級友の葬儀に、出られれば出ようと思って準備をした。

しかし、メールで回ってきた予定をみると、
出られる日程ではないし、会場も遠い。
出席は断念。

同級生たちで供花の話しが進んでいる。
忙しい勤務医の身で、幹事役を引き受けてくれる級友がいるのが
ありがたい。

新国立劇場{ファルスタッフ」2015/12/03 23:23

ヴェルディ最後のオペラ、Late workってやつですね。

聴衆を感動させようとか、どう効果的に書こうかとか
もうほとんど考えていないのかもしれない。
勝手にただ美しいというか、美しい音楽がただ惜しげもなくそこにある。
夜空を見上げて花火を観ているみたい。
次々と美しい光りや色や形やその組み合わせと変化が展開されて
それを賛嘆しつつ眺めているような気持ち。

で、花火大会って最後、ヤケクソみたいに打ち上げて終わりますよね。
この曲の最後も、そんな感じ。
フーガの形で書かれているらしいんだけど、知って聴いてもフーガだなんてわかんなかった。
ばりばりばりドカンドカンバンバンどーんぴかぴかぴかぴか・・
ただ呆然と、「終わり」を惜しみながら見上げていた。

「フィガロ」や「コシ・ファン・トゥッテ」にとても近い世界でもあるけど
モーツァルトには無かった老年の智恵と諦観のようなものも
どこかに感じられる。

生で接するのは初めてだったが、また観たい。
行って良かった。
本日初日、あと3回公演がある。お薦めだ。

歌手も皆良かったし、
イヴ・アベルって人が指揮した東フィルが素晴らしかった。
しなやかで精細で音楽的に雄弁。
この指揮者は本物だと思う。
休憩の前後にもブラヴォー、ブラヴィーが飛んでいた。
終演後は言うに及ばず。
ジョナサン・ミラー演出の舞台は、視覚的にとても美しく、妙なひねりや小細工がなくて、素直に楽しめる。

キャスト:
ファルスタッフ:ゲオルグ・ガグニーゼ
フォード:マッシモ・カヴァレッティ
フェントン:吉田浩之
カイウス:松浦健
バルドルフォ:糸賀修平
ピストーラ:妻屋秀和
フォード夫人アリーチェ:アガ・ミコライ
ナンネッタ:安井陽子
クイックリー夫人:エレーナ・ザレンバ
ページ夫人メグ:増田弥生

N響定期「サロメ」2015/12/06 19:50

近年12月恒例になっているシャルル・デュトワ指揮コンサート形式のオペラ。昨年の「ペレアスとメリザンド」は、本当に素晴らしかった。

今年はリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」。
大オーケストラが不協和音も満載で演奏する難曲。コンサート形式の方が、「合わせ」の精度は高い。歌手も「合奏」の一部として、きっちり合わせて歌うので、ビミョウなズレにハラハラしたり、居心地が悪い思いをすることが無い。
しかし反対に、歌手の声量的には、劇場の舞台以上につらいのではないか。デュトワはさすがにそんなことは百も承知で、大オーケストラの音が大きくなり過ぎないように随所でコントロールしていたが、それでもクライマックスでは、歌手の声をオーケストラの音が飲み込んでしまっていた。

首が切られてゴロン、なんていう不気味な場面の音楽は、舞台が無いほうが、かえって良い。サロメの踊りなんかも、踊りは無い方が良いと思った。

「サロメ」はこれまで舞台で2回観ている。これでライブは3回め。毎度、また観たい、とは思わない。シュトラウスがエレクトラとサロメの後、この世界を離れて「ばらの騎士」へ行くのは、実に真っ当で、後の僕らにとっても幸いなことだった、という感想を抱く。今回も、そうだった。

配役:
ヘロデ:キム・ベグリー
ヘロディアス:ジェーン・ヘンシェル
サロメ:グン・ブリット・バークミン
ヨカナーン:エギルス・シリンス