いざ高松2016/06/03 22:01

朝9時半に東京駅を出発する東海道新幹線のぞみで、高松へ。
新横浜で乗車するはずのスタッフAが乗り遅れそうだといってひと騒ぎあった。
遅れたわけ。昼飯の前菜用に、千葉の患者さんから到来のソラマメを茹でていた。
そう。当院、みんな食いしん坊である。そのくせみんな少食なんだが。
京都駅過ぎるあたりで、早めの昼食。
神戸屋でサンドイッチを一人1パック、長谷川酒店でヨナヨナエールを一人一本。
これは、スタッフからオイラへの指令である。
ちゃんとカップ持ってくるし。
根性入っている。缶から直呑みなんかしないんだもん。

日本中けっこう行っている方だと思うが、高松は初めて。
駅に着いて、駅前のシンボルタワーの最上階でコーヒー一杯。
この景色には、ノックアウトされた。
港のある街っていい。
おまけに目の前の瀬戸内海が、何か物語りの世界の入り口のようだ。
いつまでも見ていたくなる。

遊びに来たわけじゃない。
日本東洋医学会学術総会。
午後3時過ぎから6時まで、ちゃんと勉強しましたよ。
近世から現代までの日本の漢方の歴史を俯瞰し、現代の我々の立ち位置を再確認するような、シンポジウム。
その淵源の部分では、インドからの仏教医学の影響が入っていることが指摘された。
現代の部分では、様々な流派の対立を、各流派の中心人物の子供の世代が乗り越えようとして結束したことが、今につながっていることが示された。
いいシンポジウムだった。

夜は、予約してあった店で、コース料理を楽しむ。
これは、鰻を、薯蕷と卵白で蒸したもの。
鰻のしつこさは消え、滋養を残した一品。

北寄貝と豆の焼き物。
歯ざわりのハーモニーが愉しい。

烏賊は、ネットリでもコリコリでもない、サクサクした歯ざわり。
これは初めてだな。
他に鰈、金目鯛、雲丹。

酒は、高松なら凱陣を飲め、と知り合いから言われていた。
この店の地酒は、凱陣のみ。
ただし凱陣だけで4種類あった。順番にみんな飲んだ。
これは山田錦の純米吟醸。
おっと。純米吟醸といっても、「吟醸」のソフトなイメージは無い。
「純米」の方に比重がかかった、重厚な酒質。

牛肉は、胡麻を隠し味程度に軽く使って和風にしてある。こういうものに、凱陣はまったく負けない。
ちょっと目が霞んできてますな。

KU16のKUってのは香川大学のことらしい。
香川大学で開発した米を使った純米酒。

これも、大瀬戸という新しい品種を使った純米。
他に、亀の尾を使った純米も飲んだ。
どれも非常に骨太・重厚、今どきの売れ線を狙ったものとは違う。

食べ物は、他に、甘鯛の酒焼き、鱧の落としが出て、シメの御飯は、オイラはカラスミの茶漬け。苺のシャーベットが出た。
充実したコースだよねえ。
銀座で食べたら何万円? 食べたことないから知らないけど。
ここ、食の材料も文化も豊かなところだな。
「き星」という不思議な名前の店。
琴電の線路際にある小さなワンルームマンションを改装した、という店で、ほとんど看板も出ていないので、予約して地図を頼りに行ったら、店の目の前に立ってしばらく「ない、ない」と探し回ってしまった。
構えはプアでもいい中身勝負って、讃岐うどんの店にも共通する高松の文化の特徴かもしれんなあ。香川の県民性って貯蓄性向が高いらしい。ってことは、無駄な金は払わんぞってことだもんなあ。かなり徹底しているかも。

あ、そういえば本日は、当銀座内科診療所の開院19周年の記念日。
今宵の高松ディナーは、スタッフと共に記念日を祝ったのです。