和漢医薬学会2日目2016/08/28 00:08

雨上がり曇天あさんぽ。
雫をまとって百日紅が重い。


とうもろこし畑も終了。

涼しく、夏の気配が感じられない。

今日は少し遅めのスタート。
それにしてもこの本館講堂、すごい。
大正モダンなのかな。
オペラハウスと見まごうばかり。


親切といえば他人に対するものと思うけれど、
まず自己に親切たれ、という。
星一という人、独自の哲学と言葉を獲得した人であったのだろう。
星新一さんに、父・一を描いた「人民は弱し 官吏は強し」という小説があるようだ。
読んでみるか。。

今日は、まずは、国立がん研究センターの上園保仁先生による特別講演「経験に裏付けられた漢方薬の効能を明らかにするための基礎から臨床へのトランスレーショナルリサーチー漢方薬六君子湯研究を通して」を聴講。

1999年に日本人によって発見されたグレリンという消化管ホルモンは、食欲を増進する唯一の消化管ホルモンであり、今のところ、グレリン分泌を増加させる薬は六君子湯しか知られていない!グレリン分泌を亢進させるのは陳皮と甘草であり、活性体であるアシルグレリンを脱アシル化して不活性化する酵素を、茯苓、生姜、甘草が阻害している。
癌による悪液質の患者では、すでに反応性にグレリンの分泌は亢進しており、グレリン抵抗性の状態になっている。朮のアトラクチロジンは、グレリン受容体のシグナルを増強することにより、グレリン抵抗性を改善する。
さらに、老化マウスモデルを用いた研究で、六君子湯は長寿遺伝子として知られるサ0チュイン遺伝子を活性化し、心筋石灰化、脳内ミクログリア過活動を抑制し、骨格筋萎縮も抑制して寿命を延長させる。
六君子湯を飲むと食欲が出て胃腸の調子がよくなるし、調子がよくなってからも飲み続けると「積み立て貯金」みたいにいいことがありますよ~って、僕らが言ってたことがここまで見事に証明され、解明されると、まさに快哉を叫びたくなる。

なんだけど、オイラは自分では六君子湯飲むより補中益気湯飲む方が食欲出るんだよね。しかし補中益気湯にはグレリン分泌亢進効果が無いそうだ。陳皮も甘草の入っているのに。このあたりが、まだまだ奥が深いところ。構成が良く似た茯苓飲、平胃散、二陳湯ではどうか。このあたりを研究中だという。上園先生の研究からは、目が離せない。
あとは、通常こうした薬の主薬の一つと考えられる「人参」がちっとも研究の俎上に上がってこないのも、非常じ興味深いところだ。

ランチョンセミナー。
名古屋市立大学の牧野利明先生による「漢方処方の中での生薬の役割」。
前半は、漢方教育の中で、個々の生薬の薬効・薬能に関して、典拠となりうる公式の基準が無いことに関する問題提起。後半は、白虎加桂枝湯における石膏の量依存的は抗アレルギー効果に関する研究結果、小青竜湯における芍薬のマイナスの抗アレルギー効果に関する研究結果の紹介。どちらも、興味深く、臨床に直結するヒントになった。

帰ろうとしたら、薬用植物園が公開しているではないか。
1時間ほどをここで過ごす。
薬用植物写真コレクションを増やすことができてうれしい。

霍香の基原植物、カワミドリ(パチョリ)。シソ科。

黄芩の基原植物、コガネバナ。シソ科。

茴香の基原植物、ういきょう(フェンネル)。セリ科。

薏苡仁の基原植物、ハトムギ。イネ科。

柴胡の基原植物、ミシマサイコ。セリ科。

呉茱萸の基原植物、ゴシュユ。ミカン科。

五反田のカラオケハウスで1時間ほど笛のお稽古して帰宅。
夕食は、カクアジのムニエルとパンで軽く。