江戸川茂呂君のチェロ2017/06/01 17:54

午前の診療を終え、5月分の診療報酬請求書類の点検を済ませる。

夜は王子ホールで、江戸川 茂呂くんのチェロリサイタルを聴く。
江戸川君の本名はEdgar Moreau、まだ23歳のフランス人。
名前も知らない人だったが、名曲ぞろいのプログラムだし、
王子ホールの人選の目(耳)は確かなので、楽しめそうだと思って買った。

一曲目の出だしで、もう聴衆の耳を掴んだのがわかった。
かつて聴いた覚えがないほどハリの強いよく響く大きな音の持ち主。
それを痛快なくらいに思い切りよく使って、ストレートに投げて来る。
面白かった。スター性があるソリストタイプ、ウイスキーならシングルモルト。
もちろん未だ若いが、その若さは、非常に眩しい。
どんな熟成を見せるか・・ってこの人が熟成するころには、
オイラはこの世にもういないな。

プログラムは、前半がシューマン:幻想小曲集Op.73、フォレ:エレジー、ショスタコヴィチ:チェロ・ソナタ。
後半はブラームス:チェロ・ソナタ第一番、サン=サーンス:「サムソンとデリラ」から「あなたの声に心は開く」、パガニーニ:「ロッシーニの主題による序奏と変奏」。アンコールに「チャルダッシュ」とエルガー:「愛の挨拶」。
ピアノは、ピエール・イヴ・オディクという、ハリー・ポッターを思わせる風貌の青年。チェロとのバランスに気を配ったセンスのいいピアノだと思った。

終わって、2日連続でオリーバルで軽く晩メシ。
初めてですか、と言われたから、昨夜も来たよ、と。
これで、もう常連だな、ふふ。

日本東洋医学会@名古屋1日目2017/06/02 22:20

午前の診療を終え、昼過ぎの新幹線で、名古屋へ。
日曜まで、この地で開かれる日本東洋医学会学術総会に参加。

名古屋に着いたら東京より涼しく爽やかなので、ちょっと意外だ。

名古屋国際会議場。
この会場での東洋医学会に来るのは、もう三回目になる。


「嗅覚障害の診療に及ぼす伝統医学のインパクト」という2時間のセミナーを聴講。
耳鼻咽喉科領域は独立性が高い。
これまで学会でもあまり意識して聴いた覚えがない。
感冒後嗅覚障害に対して当帰芍薬散が有効で、メカニズムは神経成長因子を増強する、なんてこの領域では常識化しているらしきことも、恥ずかしながら知らなかった。
来れば収穫があるものだ。

夜は、スタッフ二人と合流して、イタリアン。
アンティカ・オステリア・バーチョという店で
名前どおり、今どき風ではないクラシックスタイル。

量も昔風にたっぷりある。
前菜盛り合わせは、これで一人前。わ。

パスタその1。
ヤリイカ、トマト、カラスミ。
これで一人前。え、三人前じゃなくて?

パスタその2。
ソラマメとつぶ貝のバジルソース。
これで一人前。もうおなかいっぱいなんですけど。

で、メインは三河の牛赤身をシンプルに焼いて。
これで一人前。う。がんば。

ふだんの3倍くらい食ってしまったなあ。
ホテルまで4㌔ほど歩いて帰った。
夜の街に、グランパスの旗がはためいていた。
名古屋は、妙に道幅が広い。

今日の歩行一万四千歩。

日本東洋医学会@名古屋2日め2017/06/03 22:29

7時に起き、8時過ぎには学会場入り。
9時からまず「本草学者丹波修治」という教育講演を聴講。
まったく知らない人だったが江戸時代における本草学の広がり、それが西洋からの学問の流入と合流して明治時代の生物学の礎になっていく様が感じられた。
次いで特別シンポジウム「君も達人になれる」(なんて恥ずかしいタイトル!)をチラリと覗いた後、薬理の一般演題へ。生薬と抗酸化活性、黄耆による腎機能改善、抑肝散によるオキシトシン分泌調整といったテーマ。ここの発表について評価判断する力量はオイラには無い。今の研究者の関心がどのあたりに向いており、どんな手法で研究が行われているのか、に興味をもって聴講。
11:00から金子幸夫会頭の会頭講演「傷寒雑病論を学ぶ:張仲景から葉天子にかけて」を聴講。名古屋での漢方の歴史を少し垣間見る。以上、午前の部終了。

12:10からはランチョンセミナーで、辨野義己さんによる「長寿菌がいのちを守る~大切な腸内細菌コントロール」という話し。この領域は、どうしたっておもしろい。講演もおもしろかったが、話しが広くて、細部をもう少し聴きたかった。本が出ているようなだから、買って読んでみよう。ちなみに、雲古の8割は水、だそうですよ。人は体内に広大な生態系を宿していて、その生態系に対して、食生活を始めとする生活習慣等によって、大きな影響を与え、それがまたその人の体調に跳ね返る、というダイナミックなシステムの中で生きている。そうしてヴィジョンは、オイラにはとても魅力的。

午後。シンポジウム「現代における本草学」。金兌勝さんによる、生薬の作用を、温ー冷、乾ー潤、行ー鎮の3つの軸で考える、という話しは、なるほど頭の整理になる。
笛木司さんの、宋版傷寒論の度量衡に関する考察は、1両=約14gという結論。う~む。説得力ある考察。角野めぐみさんによる生薬の煎じ方による成分変化の報告。蘇葉は、煎じ時間5分が上限。だとすれば、エキス剤、あきまへんな。

朝九時からずっとお勉強。
座ってる時間が長くて腰が痛くなってきた。
医学部の学生時代を想い出す。
ちょいと会場内散歩。
これ、ダ・ヴィンチの構想を形にしたものなんだな。
あの時代にこの大きさの像を構想した人は凄い。
ってことを見せてくれるのも、いいね!

「妊娠と漢方」のシンポジウムに参加のつもりだったが、
文字通り立錐の余地もない満員。
向かいの部屋で、耳鼻咽喉科関係の一般演題を聴く。
ふだん聴かない話しを聴くのも学会の面白さ。

午後4時から最後の二時間は特別シンポジウム
近世・現代の比較から漢方の明日を考える」。
加島雅之、木村容子、高山真、と若手の精鋭が揃った。
この人たちが、これからをリードしていくのだろう。
漢方の明日。
総合内科・プライマリ・ケア領域で漢方を生かす、
専門性が高い領域で漢方を活かし研究する、
という方向性はますます広がっていくだろう。
その時に従来の漢方の専門家がどう生きるか。
加島先生のこの問いかけは、鋭く深い。
オイラは、ぼちぼち退場を考えているから、まあいいけれど。

夜。
スタッフ二人、昔からの友人二人と合流し、祝杯。


今日は、銀座内科診療所で診療をはじめてから20年目の記念日だ。
二十年前、オイラは四十代で、まだ新しい薬の名を覚えるのに苦労せず、
体重は今より五、六㌔重く、子どもたちは小学生で米国で生活しており、
銀座にはマンションが一棟もなく、
スタバ日本一号店からは芳しいコーヒーの香りが溢れ出ており、
飲めば必ず胃が痛くなるほど強いコーヒーが出されていた。
みんなずいぶん変わった。

乾杯!

あと何年、こうしてやっていられるかな?

日本東洋医学会@名古屋最終日2017/06/04 22:33

学会最終日。
今日も7時に起き、8時過ぎに会場入り。
9時からシンポジウム「小児漢方の新たな展開」を聴講。
小児科も意外と独立性が高く、小児だけの漢方の学会があったりもする。
発達障害と漢方、小児外科領域の漢方、これまで聴けていなかった話しが聴けた。

産科・婦人科の一般演題をしばらく聴き、
ランチョンセミナー松橋和彦先生の「漢方の美しさ~対薬理論・血虚からの展開」へ。
この先生の話しを聴くのは3回めか。
頭の整理にはなかなか良い。
なんか話しぶりが、予備校の先生みたいになってきたかも。

最後。「フレイルと人参養栄湯」と題した乾明夫先生のセミナーを受講。
盛り沢山で、ちょっと消化不良気味。

名古屋駅へ出たら、ちょうど都合のいい「ひかり」に間に合った。
3日で16時間くらい勉強したから、日が高いけど、もう白ワイン。
学会にでると、とりあえずヤル気出る。
カツが入る、の方が近いか。

この秋はドイツ・レクイエムもワルキューレも、
さらにショスタコーヴィチの第七交響曲も予定に入ってるのに、
5時間かかる「アッシジの聖フランチェスコ」にも行くことになった。

漢方薬を一般大衆が気軽に使う状況は歴史上初めてだしある意味想定外って話が学会で出ていたけど、音楽だってそうだ。
ブラームスもワグナーもショスタコーヴィチも、作曲家自身はこんな聴かれ方を想像さえしなかったろう。1992年まで生きたメシアンはどうだかわからないが。

医療も芸術も、無差別大量消費から十分な距離をおくことは不可能に近い。

日常復帰のめし2017/06/05 07:35

午前、小田原・丹羽病院の漢方外来。

夕刻、しばし爆睡。
二階に寝ていて、一階まで大いびきが聞こえた、とツレアイに言われる。
学会疲れだ。

うちのメシが一番って、ジジ臭いセリフだよな。
子供のころから、同級生や母親から、老成したようなところがあると言われていた。
これは、オイラの個性なのかもしれない。
65過ぎれば、老成がようやく身の丈に合ってきたと言っていいかもしれない。

ソラマメ御飯。

ソラマメとレンコンとキヌサヤのサラダ。赤いのはred pepper。

蒸した塩豚を二種のソースで。
新玉葱を刻み込んだ醤油と和芥子。
マスタードと蜂蜜とルバーブジャム。


蒸した時にできた豚のエキスで、リークとセロリのスープ。

やっぱりうちのメシが一番だ
オイラは、スープと肉のソースだけ担当。