早朝の仕事 深夜の繰り言2017/11/01 22:14

早起きして出勤し、始業前に10月分の診療報酬請求書類を仕上げた。
休日をこの作業に使いたくなかったからだ。
3日の天気が良ければ山を歩くところだが、予報は雨なんだよな。
5日の予定を3日に繰り上げて済ませ5日に山歩きという手もあるか。

「論文書くときはな、書き始める前にうんと初歩的な入門書を読み直すんだぞ。
いいな。覚えとけよ」
職員室に呼ばれて行ったら、クラス担任だった数学の先生は、読んでいたブルバキから顔を上げて、そう言った。
理系進学希望なのに数学はさっぱりダメで進学ならぬ神学の本なんか読んでいた高三のオイラに、なぜあんなことを言ったのだろうか。
結局数学はもちろん、他の分野でも論文は書かずに終わる。
そう言えば彼は、
「大学に入ったら、オマエは俺んとこへ数学習いに来るんだぞ。いいな」。
そうも言った。
なぜあんなことを言ったのだろうか。
担任の生徒みんなに言っていたのかもしれない。
オイラは大学に入っても彼のところには行かず、
数学は苦手のまま老年に至った。
もったいないことをしたのかもしれない。

もうひとつ。
「セロ(チェロとは言わず、彼はセロと発音した)を弾いてみたい人はいませんか。
いたら、昼休みでも放課後でも、教員室へいらっしゃい。教えてあげるから」
芸大の先生でもあった音楽の先生のゲタさんが、
たぶん高一の最初の授業で教室を見渡して、そう言われた。
烈しく心動いたが、ゲタさんはおっかなくて、習いになんか行けなかった。
人生で「悔い」に一番近いのは、これかなあ。

あの学校は、宝の山だったと今さら思う。
あのころは、その価値もわからず、どれだけ無為に過ごしてしまったか。
所詮それだけの器であった。