2017年の総まとめ2017/12/31 23:59

ブログを読み返し、一年を振り返ってみる。
こうしてみると、大変忙しくも充実した一年だったと改めて思うが、二度の帯状疱疹、二度の受傷をはじめ、心身の限界を感じることもあった一年だった。
コンサート体験は、おそらくこんな豊穣な年はなかなか無かろうと思う。自分で主催して昔の音楽仲間との合奏・合唱の会を二回開けたことも、大きな喜びだった。
サッカーも、日本代表のワールドカップ出場決定に立ち会えたし、ご贔屓の湘南ベルマーレはJ2優勝でJ1昇格を決めたし、良い年だった。
研修医時代の指導医の一人だったM先生、師匠からの紹介で末期に少し関わらせていただいた女性ピアニスト、夫婦で受診してくださったいたKさん夫、三人の癌死は痛く残った。
開業20週年を迎え、クリニックは、新しい事務スタッフを迎えた。遠心分離機やUPSが壊れ、カーペットは擦り切れ、いろいろケアが必要になっている。自分の身体のケアもあるから、まあいろいろ大変になってきた。
昨年から始めた検診の出稼ぎを、今年は1年で75件こなした。できる間は、と思うので、来年も続けていくことになる。
母親が93を迎え、いよいよ摂食量が生命維持に必要な量を下回るようになった。来年は、一つの節目になるのかもしれない。

1月:正月早々、逆上がりをした。2月の漢方セミナーの準備に注力。漱石の「草枕」を前衛小説として読む。コンサートは「マロワールド」のプーランク、サン=サーンスほか。下野竜也指揮N響定期、森の中ではなくサンゴ礁の海の中みたいなブラームスヴァイオリン協奏曲ほか。新スタッフ候補Iさんと、お見合い。出稼ぎは神奈川と都下の3件。歩行200,000歩。

2月:初旬に漢方セミナー講師、今回のテーマは川芎。その後は、診療の傍ら、10年以上受診の無い患者さんの紙カルテの整理。雪の大山に登る。コンサートは、パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響が二回。シベリウスとペルトなど合わせた北欧プログラムは、メインのシベリウスが妙にせわしくてがっかりした。欧州公演に持っていく武満「弦楽のためのレクイエム」とマーラー第六交響曲の公演は、現在のこのコンビの非常に高いレベルをまざまざと実感させられた稀有の演奏。オーケストラ・ニッポニカの「九州・沖縄の作曲家による交響作品展」は、知らない作曲家ばかり、初めて聴く作品ばかりだったが、都会の困難、地方の豊穣を実感させられた。メトロポリタン・ライブ・ビューイングで観たヴェルディ「ナブッコ」。立つ・歩くができなくなっているレヴァインの目の迫力が忘れられない。ファウスト・メルニコフ・ケラス、傑出した三人が王子ホールで開いたシューマンのピアノ・トリオ3曲だけの一夜も、強烈な印象を残した。ファレノプシスとシンビジウムが開花。初めての閃輝暗点。職場の新スタッフIさん、お試し勤務開始。出稼ぎは神奈川と埼玉の3件。歩行195,000歩。

3月:次々と花が咲き始める。仕事は、診療+古い紙カルテのPDF化と紙カルテ処分継続。学会の講演会、カレーとお灸がTRPチャネルでつながる面白さ。コンサートは、チェロのケラスとピアノのメルニコフ。ベートーヴェンのチェロ・ソナタ全曲演奏会といいつつ、ベートーヴェン、ドビュッシー、ウェーベルンによる一夜のリサイタルになっている、という面白さ。メルニコフの、アール・ブリュットのようなピアノ。鈴木秀美指揮オーケストラ・リベラ・クラシカによるモーツァルト「ポスト・ホルン」セレナード他。出稼ぎは、千葉4件、神奈川2件。雨や雪に祟られることもあり、なかなか大変。二度目の帯状疱疹疑いで、抗ウイルス薬で治療。月末は、風邪。忙しくて外歩き・走りは少ないが、腹筋などの軽い筋トレは続け、珍しく腰のコルセット無しで過ごす。歩行184,000歩。

4月:真冬と初夏を行ったり来たりの天気。ジョギ散歩復活。北朝鮮情勢緊迫。連休は、7月の講演準備。仲間とやっている東京和漢研第19回で腸管脈静脈硬化症の症例につき発表。コンサートは、王子ホールの「マロ・ワールド」シリーズでドヴォルジャークの室内楽。ファビオ・ルイージ指揮N響定期。珍しいアイネム、スナイダーのヴァイオリンソロによるメンデルスゾーンの協奏曲がとても良かった。6年前に死んだ友人を偲んで「渡辺記念イースター音楽祭」と称して昔の音楽仲間と合奏・合唱の一日を主催。その前日に、左手拇指を割れたグラスでザックリと切ってしまい、夜間救急で5針縫合。出稼ぎは、都心1,千葉2、神奈川2で計5回。歩行200,000歩。

5月:夏の気温の日もあったが、多くの日にエアコンなし、窓を開け放して仕事ができた。家の車を買い替えた。平成12年物のデミオから、25年物のデミオへ、13年若返った。これがウチの最後の車にになるかもしれない。休みの日は、7月の漢方セミナー準備に費やした。コンサートは、ピンカス・スタインバーグ指揮N響定期、スメタナの「我が祖国」。自分はどうもスメタナに対しては感受性のチャンネルが開いていないらしい。出稼ぎは、神奈川、千葉、埼玉、静岡各1件で計4件。歩行213,000歩。

6月:比較的雨が少なく、朝夕は涼しくて過ごしやすい6月だった。開業からちょうど20週年の記念日を、名古屋での日本東洋医学会参加中に迎えた。菩提樹の花を見に、何度か朝の日比谷公園に通った。自宅の枇杷が豊作で、日に20個くらいずつ食べた。コンサートは、23歳のフランスの若きチェリスト、エドガー・モローの王子ホールでのリサイタル。若々しい伸びのある直球がパシーンとミットに音を立てる快さ。宮田大がショスタコーヴィチのチェロ協奏曲を弾いた読響定期は、その前のシベリウス「トゥオネラの白鳥」が良かった。読響のトップに就任した遠藤真理さん、宮田君を食っちゃったかも。トン・コープマン指揮N響のミューザ川崎でのコンサートでは、かねて今ナンバーワンと聞いていたカール=ハインツ・シュッツのフルートに驚いた。恐ろしく滑らかな音のコントロール、音楽の気品。フルートを超えちゃってる気も。メトのライブビューイングで観た「薔薇の騎士」は、背景の暴力的なものをストレートに引きずり出した演出と、それを象徴するグロイスベックのオックス男爵にたまげた。パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響定期は、フランス物。万華鏡のような音色変化のデュティユー、河村尚子さんが協奏曲のソロを弾いたサン=サーンスは良かった。パーヴォのラヴェルは、なんだってあんな早いテンポを要求するのか理解できない。出稼ぎは千葉2件、静岡2件、埼玉東京各1件で計6件。歩行240,000歩。

7月:梅雨を素通りして真夏になってしまった。猛暑の7月。月初に藤沢市医師会東洋医学研究会の漢方セミナー講師。月末に次男坊の結婚式。間に師匠の受賞記念会。遠隔診療にちょっと興味を持って研究しかけたが、頓挫。ジョギング中に躓いて転んで膝を擦りむいた。村上春樹さんの最新作「騎士団長殺し」を読む。コンサートは、ミンコフスキー指揮都響定期で、ハイドンの102番、ブルックナー第三番初稿。これは素晴らしい充実の時。巨樹を前にしたような。鈴木秀美さん指揮オーケストラ・ニッポニカは、ヒンデミット、三善晃、深井史郎。これも充実していた。出稼ぎは、千葉4件、東京2件、神奈川1件で計7件。なかなか忙しかった。朝んぽは何度か。歩行234,000歩。

8月:迷走台風の襲来などで雨が多く、今ごろ梅雨が来たかのようなひと月。ベルギーから、次男が高校留学でお世話になったホストファミリー一行8人大挙して来日。一緒に食事すること3度、那須でも会った。ついでにツレアイと那須・三斗小屋一泊で軽い縦走。思ったよりずっといい山だった。この山旅で軽登山靴が限界に達したので、キャラバンシューズを買った。「騎士団長殺し」読了、勢いで、村上春樹に川上未映子がせまった「みみずくは黄昏に飛びたつ」も読了。コンサートは、アンサンブル・ヴァガボンド一回のみ。3曲とも素晴らしい音楽だったが、特に下野竜也さんを指揮に迎えてのマーラー「大地の歌」室内楽版が、呑み込まれるような表現になっていて忘れ難い。埼玉スタジアムで、サッカー日本代表がワールドカップ出場を決めたオーストラリア戦を観戦できたのは、嬉しかった。2-0の快勝。雨が多く、ジョギも散歩もあまりできなかった。出稼ぎは、埼玉2件、東京2件、千葉静岡各1件で計6件。歩行208,000歩。

9月:台風が来たり、大雨が降ったり、冷たい風が吹いたりの9月。仲間とやっている東京和漢研の第20回を主幹。水銀血圧計3台を処分。丹沢山塊の大山三ツ峰登山。ここは予想以上にきつかった。ベルマーレ対ツエーゲン金沢の試合を平塚で観戦。音楽は、パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響の「ドン・ジョバンニ」、ショスタコーヴィチ交響曲第7番、いずれも異様なほどの緊張と音楽的密度を湛えた名演。間にサヴァールトリオのケルト音楽王子ホールで聴いた一夜も充実していた。ショスタコーヴィチの7番を聴いた直後の数日、頭も腹も痛く、ほぼ寝たきりになったのは、急性ショスタコーヴィチ中毒、略称タコ中だったのだと信じている。出稼ぎは東京2件、神奈川2件、千葉埼玉各1件の計6件。ちょっと無理して疲れ気味。歩行241,000歩。

10月:秋深まってから台風が来た。台風といえば蒸し暑いのが通り相場だが、うすら寒く暖房が要る風雨だった。木枯らし1号も吹いた。変な秋。コンサートは、キリル・ペトレンコ指揮バイエルン国立管の公演。マティアス・ゲルネがピアニッシモを駆使して歌う詩的なマーラー、クラウス・フローリアン・フォークトのジークムント他による「ワルキューレ」第一幕の豊麗。目を見張る素晴らしいオーケストラの響きを、ペトレンコはこのオーケストラから紡ぎ出していた。フィリアホールでのエベーヌカルテット、売り物のジャズもさることながら、モーツァルト、ベートーヴェンを今自分たちが作った音楽のように新鮮先鋭に聞かせた。ファウスト/メルニコフのモーツァルトソナタの夕は、新鮮というより、ちょっとゲンナリするほどシャープで辛口の表現。これでブラボーを取れるのはすごい。下野竜也さん指揮N響定期は、ヴァイオリンのクララ・ジュミ・カン、ソプラノのモイツァ・エルトマン、一夜の定期に二人のソリストを招いて、ベルクのヴァイオリン協奏曲、ルル組曲、合間にモーツァルト、贅沢で味わい濃いコンサートだった。出稼ぎは、これまでの検診にインフルエンザワクチン接種が混じり、東京5件、埼玉3件、神奈川2件の計10件。忙しく働いた。歩行212,000歩。

11月:しっかり寒くなった。小田原・丹羽病院で漢方外来を開かせていただいて、もう何年になるだろうか?20年近くにはなるはず。ずっと月曜日だったのだが、病院の事情で今月から火曜日になった。月曜日は休日が多いので休診が多くて難しいところがあった。火曜になってその点ありがたいが、午後の銀座での診療に間に合うか、ちょっとスリリングな綱渡り。漢方薬の処方→調剤でヒヤリハット事故があり、処方箋の記載方法を少し変更。こういう細かい集中力と持続力が要る作業が、少々億劫になってきている自分を自覚する。ツレアイ、長男と三人で大山登山。コンサートは、ヤノフスキ指揮N響定期のヒンデミットとベートーヴェン、いろいろな意味で精度の高い合奏によって産まれる美しさ。ブロムシュテット指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管とヴィーン楽友協会合唱団他による壮麗極まりないブラームス「ドイツ・レクイエム」、カンブルラン指揮読響他による、まさに記念碑的なメシアン「アッシジの聖フランチェスコ」全曲日本初演。どれも、本当に立ち会えて良かった。6年で三度目、今年2度目の帯状疱疹?で抗ウイルス薬治療。無理が祟っていることは自覚している。けど、まあそれでいいじゃん、と思っているところもあるんだよな。出稼ぎは、東京9件、埼玉2件、千葉1件、計12件でほぼ限界。歩行235,000歩。

12月:せわしなく駆け抜けて記憶なし。交際交流基金賞を受けた旧友のお祝い、大掃除と忘年会、藤沢市医師会東洋医学研究会の忘年会。コンサートは、デュトワ指揮N響のラヴェル・プログラム。その後デュトワは、セクハラ疑惑が報じられ、各地のオケで指揮できなくなっている。N響を指揮するのも、もしかするとあれが最後になるのかもしれない。何か妙にそんな予感をだったのか、とも思える暗く暴力的なものを感じさせた一夜だった。ジョナサン・ノット指揮東響のドン・ジョバンニは、主役級二人の降板交代を乗り越え、パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響といずれ劣らぬ名演。この演目でこんな素晴らしいライブを2つも続けて聴けるなんて、それだけで今年は特別音楽的に幸福な年だったと思う。聴納めは、フルシャ指揮都響定期、マルティヌーとブラームスの第二交響曲他。このコンビはもう少し聴いておきたかった。前から弱点だった左膝の調子が悪くなって、散歩もジョギもブレーキがかかっている。身体との付き合い方を、来年は少し変えないといけないのかもしれない。出稼ぎは、東京6,千葉2,神奈川1の計9件。歩行202,000歩。

コメント

_ 鎌田傳四郎 ― 2018/01/09 17:57

 今年も新しい年になりました。ブログを拝見してどのくらいになるでしょうか、小生が宮崎県の小林勤務中は朝日新聞の記事でお会いし、それ以来拝見させて頂いております。その間に1人娘も独立していきました。
 岩手に住む者として、色々感謝をしております。膝を労りながらどうぞお過ごし下さい。

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