漢方の過去・現在・未来2018/09/01 22:59

診療を終え、立ち食い蕎麦をかき込んで、新宿へ。
漢方エキス製剤のガリバー、ツムラが創業125週年だそうで、
記念講演会が京王プラザであった。

恩師寺澤捷年先生が「漢方エキス製剤が辿ってきた道」と第して、
明治以後近代日本の医療の中で漢方が辿ってきた険しい歴史を振り返る。
時間がたつほどに興に乗り、声を張り上げ、会場を睥睨しての寺澤節炸裂。

真ん中は、がん、フレイル、健康長寿といった現代の健康課題に関する
漢方薬の最新研究の紹介。
がん治療に伴う口内炎に半夏瀉心湯。
フレイルに牛車腎気丸。
健康長寿に六君子湯。
目新しい材料ではなかったが、力のこもった総説的講演が3題。

最後は、「システム・バイオロジーと漢方」と題した
北野宏明先生の講演。
システム・バイオロジーというのは、分子生物学的なミクロの研究を
膨大な数集めてシステム工学的に解析すると何が見えるか、
という一種のメタサイエンスのようだ。
細部は理解しがたいが、非常に興味深い内容。

折しも大型で強い台風21号が南海上から日本をうかがっている。
台風のような複雑な気象現象も、
膨大な気象データを大型コンピュータで解析することで、
これまでとは違った精密な進路予測、被害予測が出されるようになってきた。

人体も一つの小宇宙であり、
病気は気象現象のようなものだと思う。
それがこれまでとは違った予測と制御を受けるようになった時、
人間は、地球は、どうなっていくのか。。

3時間、充実した知的刺激の時を過ごした。