ウィンナ・ワルツとマーラーで音楽シーズン開幕2018/09/15 23:21

午前の診療を終え、夜はNHKホールでN響定期演奏会を聴く。
秋の音楽シーズンの、オイラにとっての幕開けだ。

前半がシュトラウス兄弟のウィンナ・ワルツで、後半がマーラーの第四交響曲。
絶妙のプログラミングだと思う。
きけばなるほど、ありそうでなかった。
同時代のウィーンで活動した音楽家たちの音楽。
こういう風に続けて聴くと、
ウィンナ・ワルツがこれまでにない聞こえ方をし、
マーラーもこれまでにない聞こえ方をするはず。
そんなパーヴォの企みは、見事に成功していたと思う。
期待以上におもしろかった。

同じ自然の息吹を吸い込み、そこから栄養を得ている音楽。
そして同時に、同じ暗い夜の路地から時代の毒を吸い込んだ音楽。
そんなことが、実感できた。

パーヴォ・ヤルヴィの指揮は何を聴いても退屈はしないが、
ちょっと強引さ、あざとさを感じることがないわけじゃない。
中でマーラーは、一番しっくりくる。
鮮烈なお披露目だった一番、欧州公演に選んだ六番と並んで
今夜の第四番も永く記憶に残るだろう。
ことにゆったりとしたテンポの第三楽章から、続いて演奏された第四楽章。
今夜もN響の精緻なエレガンスが発揮されていた。
アンナ・ルチア・リヒターというソブラノも実に良かった。
声が無理なく届いてくる。

客演でオーボエのトップを吹いていた女性が素晴らしかった。
吉村結実さんというまだ20代の方だったらしい。
定年が近い茂木大輔さんの後釜候補だろうか。
ソロも美しいが、合奏でド真ん中を射抜く音を繰り出し続けて快感。

チェロの「主席代行」という微妙なポジションの桑田歩さん。
控えめながら、ハートに届く歌が、とても好ましい。
「皇帝円舞曲」でのソロ。
プロイセンとオーストリー、戦乱の歴史の中から響く個の声と聴こえた。

ブラボー・テロリストの襲撃がなく、長い沈黙が保たれたのも良かった。
終わって外に出ると、雨が上がって少しひんやり湿った空気だったのも、
このコンサートの後味を引き立てているかのようだった。

安い店で飲んだ横手産リースリングの白ワインも、なかなか!


コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://kukikoketa.asablo.jp/blog/2018/09/15/8963081/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。