清暑益気湯2018/09/18 22:57

午前、小田原・丹羽病院の漢方外来。

ある人に清暑益気湯を処方したら、薬局から連絡の電話が入った。
在庫切れで調剤できないとのこと。
市内のどこの薬局も品切れで、メーカーから卸への入荷の見通しも不明という。

この薬、書類上の保険適応は、
「暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠、夏やせ」となっている。
猛暑で全国的に処方が増えて品薄になってしまったのか。
漢方薬を処方する医師が非常に多くなっていることも背景にあろう。
真夏でなくても使いたい場合がある大事な薬が、安定的に供給されないとは。
困ったことだ。

ふるえるふれいる2018/09/14 21:17

トシをとると、フレイルってのが問題になってくるんですよ。
そう言ったら、
「ああ、たしかにちょっと手がフルエルことがあります」
と答えた人がいた。
じゃなくってえ。

フレイルってのは、加齢と共に筋力や活動が低下している状態、
簡単にいえば「健康寿命」を過ぎた老年状態のことで、
こうした状態を日本老年学会が「フレイル」と呼ぶことを提唱して以来、
医療界ではけっこう一般化し、はやりのように使われている用語なのだ。
もとは脆い、弱い、こわれやすい、といった意味のfrailという英語の形容詞。
名刺型はfrailtyというのだが、これだと長くて覚えにくかろうと思ったのか、
フレイルという形容詞型のまま日本語化してしまった。
妙な日本語だと思う。

でえ。
フレイルに漢方薬が良い、なんて売り方も、盛んにされている。
どうなんだろうか。
フレイル化が先延ばしされるだけなら、あまり意味は無いのではないか。
寿命を延ばすのではなく、生きている間の活力だけ上がって、
端的にいえば「ピンピンコロリ」に結びつくなら結構な話だと思うけれど。

第22回東京和漢研究会2018/09/08 22:51

午前の診療を終え、
夜は築地の社会教育会館で、第22回東京和漢研究会の幹事兼司会役。
生薬の勉強、漢方の症例検討、漢方とポリファーマシーに関する議論。
今回も、充実の1時間半だった。
懇親会も、毎度充実の2時間半だった。
終了11時。

漢方の過去・現在・未来2018/09/01 22:59

診療を終え、立ち食い蕎麦をかき込んで、新宿へ。
漢方エキス製剤のガリバー、ツムラが創業125週年だそうで、
記念講演会が京王プラザであった。

恩師寺澤捷年先生が「漢方エキス製剤が辿ってきた道」と第して、
明治以後近代日本の医療の中で漢方が辿ってきた険しい歴史を振り返る。
時間がたつほどに興に乗り、声を張り上げ、会場を睥睨しての寺澤節炸裂。

真ん中は、がん、フレイル、健康長寿といった現代の健康課題に関する
漢方薬の最新研究の紹介。
がん治療に伴う口内炎に半夏瀉心湯。
フレイルに牛車腎気丸。
健康長寿に六君子湯。
目新しい材料ではなかったが、力のこもった総説的講演が3題。

最後は、「システム・バイオロジーと漢方」と題した
北野宏明先生の講演。
システム・バイオロジーというのは、分子生物学的なミクロの研究を
膨大な数集めてシステム工学的に解析すると何が見えるか、
という一種のメタサイエンスのようだ。
細部は理解しがたいが、非常に興味深い内容。

折しも大型で強い台風21号が南海上から日本をうかがっている。
台風のような複雑な気象現象も、
膨大な気象データを大型コンピュータで解析することで、
これまでとは違った精密な進路予測、被害予測が出されるようになってきた。

人体も一つの小宇宙であり、
病気は気象現象のようなものだと思う。
それがこれまでとは違った予測と制御を受けるようになった時、
人間は、地球は、どうなっていくのか。。

3時間、充実した知的刺激の時を過ごした。

漢方は家庭料理のように2018/07/05 22:14

十数年続けて担当させていただいた藤沢市医師会東洋医学研究会の、
オイラ講師としての最終回。
総集編:漢方は家庭料理のように」というタイトルで90分間。
動画カメラまで入って物々しいセッティングだった。
でも毎度のバカバカしいノリで無茶振りもしまくりで、終わった。
茨城県からわざわざ聴きにきてくださった先生もおられ、驚くやら感激するやら。

思い起こせば十数年前。
電子カルテのユーザー仲間のT先生から、声をかけられた。
「せんせ、漢方専門なんだって? いっぺん話してよ」。
T先生は、愛媛県立東洋医学研究所で勉強したことがもあり、奥様は鍼灸師。
藤沢市医師会東洋医学研究会の会長をしておられた。
で、ちょっとだけよ~、と副作用のお話をしに行った。
それからしばらくして、T先生からまた声かけられた。
「年2回きて話して!」。
それが始まりだった。

既に漢方の世界では有名な稲木一元先生が、年3回講演をしておられた。
稲木先生は、本もたくさん書かれているし、漢方の講演も山ほどされている大先生。
同じ馬場を走らされたのではたまらない。
稲木先生とは全然違うやり方を考え、
毎回自分なりに必死に勉強して準備して、十三年間やってきた。
もんのすごく自分のためになった。
これをやっていなかった自分を考えると、クソみたいに思える。

T先生は、その後、東洋医学研究会の会長の座を次代に譲られ、
今はそのまた次の会長になっている。
T先生は、医院も息子さんに譲られた。
稲木先生も自分の医院を閉じられたと聞く。
時は流れ、人は老い、オイラも潮時。
藤沢市医師会の皆さんに、深く感謝。ありがとうございました。