ユレルに揺れる2018/11/13 22:38

モーツァルトのフルート四重奏曲。
フルートに縁がある人にはもちろん大事ないい曲だし、
ずいぶんいろんな演奏で聴いてきた。
何枚かディスクを持っている。
けれど、実は、これさえあれば、というものは一つもなかった。

今年の誕生日にスタッフがプレゼントしてくれたこれは、とてもいい。
吹いているのはジュリエット・ユレルというフランス人。
オランダのロッテルダム・フィルハーモニーの主席を務めている人らしい。
そういえば昔ゲルギエフ指揮のロッテルダム・フィルの映像を見た時に、
えらく容姿も演奏も美しいフルートが印象に残った。
その人だな。
弦は、先日サルビア・ホールで聴いたフランスのヴォーチェ・カルテット。。
積極的だけど控えめで、とてもセンスがいい演奏。
惚れちゃいそう。
こころユレる。
容姿にももちろん。

今日は午前、蒲田の高層ビルで出稼ぎ。
午後はクリニックで診療。
夜は久しぶりに築地立ち飲み。

にしん酢漬けに海老名のいづみ橋・もも色黒トンボを燗酒で。

このおでんは、関東風に黒子さんだけど、味は悪くない。

この店、音楽は主に昭和歌謡。
ぴんから兄弟が笑える。

ドビュッシーの夕2018/11/11 17:20

寝坊して9時過ぎに遅い朝めし。
今日は自宅でゆっくり過ごす宣言!

胡蝶蘭に水をやり、少し手入れ。
もう花芽を伸ばし始めた気の早いヤツがおる。

と、のんびりしているところに、
急きょサポセン出動要請。
88歳義母の世話する65歳ツレアイから。
インターネット設定やオーディオのセッティングは埒外ってわけで。

行ってみると、パソコンに電源入れようにもコードがないんですけど、どこ?
ネット設定しようにも、まだ回線が来てないみたですね。
スピーカーをつなぎたい?
うーん。CDプレーヤーにスピーカーは繋げません、アンプも要りますよ。
てなわけで、すべて、希望はすぐには実現せず、
手はずだけ整えて戻ると、もう夕方なのであった。

夜は、年2回仲間の音楽遊びに使わせていただいている御宅で、
ドビュッシーの室内楽を集めた素敵なコンサートを聴く。
ドビュッシーが遺したソナタ3曲全部をまとめて聴く至福に加えて、
ドビュッシーから派生したデュカとクルタークの珍しい曲も聴けた。
まことに贅沢な夕べだった。
このためにドイツ、フランス、スウェーデンから演奏家が集まった。
この御宅の主の人徳と言うしかない。

晩メシ。
太刀魚のエスニックムニエル。

豆腐と豚と野菜のエスニックスープ。

山ほどのパクチー、ライム代わりのレモン、イカレた白ワイン、
さらに、らっきょの漬け汁などを駆使というか濫用というか。

結局なんだかんだ雑多に忙しい一日にふさわしい晩メシであったかもしれない。

体のツボ 音楽のツボ2018/11/08 21:04

あ〜そこそこ!
センセが今さわってるそこ、キモチい〜!

なーんて検診で言われると、こちらがちとアセリますがな。
コリと痛みのツボを、つい指が探り当てちゃうのよね。
午前の診療を終え、午後はVDT検診の出稼ぎ。
VDT検診って、目と肩首あたりがポイント。
ほぼみんな肩こりを訴えるからねえ。

夜はNHKホールでアラン・ギルバート指揮
NDRエルプフィルハーモニー
の演奏会を聴く。
前半は、ワグナーのローエングリンの第一幕への前奏曲と、
ラヴェルのピアノ協奏曲。
ラヴェルは、予定していたグリモーがキャンセルで、
アンナ・ヴィニツカヤという人が弾いた。
美しいラヴェルだった。
ギルバートは、生真面目な振りで、
ジャズの影響を受けたリズムの面白さをよく出していたし、
第一楽章でハープが入る静かな部分、初めてここに耳を惹かれた。
第2楽章のコールアングレは、ちょっとバッハのオーボエ・ダモーレみたいだった。

後半は、ブラームスの第四交響曲。
しみじみ系を排し、逞しい系で詰めた四番。
虚弱草食系爺は、疲れた。

ロマンチックな情緒を消して「構造と力」で聞かされると、
バッハから古典を経ての西洋音楽史を全部まるごと背負うぞ!
みたいなところが浮き立ってきて、
ロマンチックなアプローチとは別の意味で鬱陶しく重い。
だから疲れたのかな。ふう。
おいらにとっては、ツボじゃないところをずっと押されちゃったような。

アラン・ギルバートは、ちょっとティーレマンと似ている。
エレガントとは言いにくい体型や、身体の使い方、
そしてパワフルでマッチョな音づくり。
全然違うところももちろんあるけど。

最後に「浜辺の歌」をやったのは、
日本人の母をもつギルバートの日本への気持ちの表現なのだろう。
でもこういうのは、オイラは勘弁だ。

このオケのフルートはとても好き。最高に好き。
Wolfgang Ritterという人のようだ。
そういえばパウル・マイゼンが昔吹いていたオケだよな、ここは。

ワクチン打ちまくりの夜は声のカルテット2018/11/05 22:43

午前百人午後百人、朝から晩まで計二百人にインフルエンザワクチン打ちまくり。
その後に至福のカルテットが待っている。ガンバ、おいら!

やってみると、一時間半で午前の百人超終了。
問診含め一人一分かからない。
時速80人くらいは行けそう。
もちろん、目一杯テンション上げてるから
2時間もやると相当疲れる。

昼めしは ソウルフードの いなり寿司。
東京駅グランスタで買って持参。

夜、鶴見のサルビア・ホールで、フランスのヴォーチェ弦楽四重奏団を聴く。
良かったなあ! 
ヴォーチェは、声。
第一ヴァイオリンが歌い、それをほかの三人が和声とリズムで支えるんじゃなくて、
第二ヴァイオリンも、もちろんヴィオラもチェロも、
ここぞ、というところで人の肉声のような歌を届けてくる。
モーツァルトのニ短調、
エルヴィン-シュルホフの弦楽四重奏のための5つの小品、
ホアキン-トゥリーナの、闘牛士の祈り。
そしてドビュッシー。
どの曲からも、奏者たちの肉声が聴こえた。
とても有機的で親密な合奏。
また聴きたい。
ベートーヴェン、バルトーク、ブラームスをやるフィリア・ホールのコンサートも聴いてみたかった、残念。

川を越えて2018/11/04 19:16

この川を越えて、何度通ったろうか?
あと何回か?


午前、母親の訪問診療を終えて。
何処かで美味しいコーヒーが飲みたい。
横浜で何処かあるかな、と少し歩き回ったが、
ここならというところが無いので、そのまま帰宅。
なんだかひどく疲れた感じがして、しばらくベッドで眠る。

実の息子に看取られるなんて幸せな母親だ、という友人が何人かいる。
親孝行だという人もいる。
親孝行しているつもりは無いが、自分の人生の責任のようなものだとは思っている。
まだ若いころに「先に死ぬのだけは止めて」と何度か真顔で言った母の「遺言」に、
呪縛されているのかもしれない。

息子を若くして亡くした祖父母に、母は育てられた。
母は、自分の父を記憶していなかった。
そして、父親代わりのように頼りにしていた兄も亡くして、ひどい鬱に陥った。
そういう哀しみの血のようなものが、母には流れていた。
それに決定的な追い打ちをかけるようなことは、したくはなかった。
孝行したいなんて思わなかったし、しなかったと思うけれど、
そこまで残酷にはなれなかった。
それだけだ。

晩メシ。
地物カマスの干物、美味。大好物。

ブロッコリの柚子胡椒マヨネーズ和え。

ラディッシュと隠元の酢の物。

千葉から到来、ラディッシュとキュウリを、ぬか漬けにしてみた。
普通に美味しい。ラディッシュの葉を捨てている方、お試しください。

早く寝たかったが、聴きそこねた演奏会のテレビ放映があった。
この秋一番楽しみにしていたN響定期、
ブロムシュテットさん指揮のモーツァルトのプラハと、ブルックナーの第九。
母が一番死にそうだった夜で、直前に断念した。
どうしようか躊躇ったが、ライブとは別物と割り切って聴くことにした。
テレビで伝わるのはテンポとリズムだけ、みたいな気がしている。
でも、それでも良かった。

こうして、食べ物や音楽を糧にして、日々を生きている実感がある。