東大で勉強2017/03/19 20:49

今日は日本東洋医学会の地方会の講演が面白そうなので、
6時起きで朝ごはん食べて、会場の東大・本郷にでかけた。


午前中は、まず丁宗鐵先生の「カレーの歴史と漢方薬」。
インド系生薬は、正倉院御物にも含まれ、その時代からインドとは交流がある。
漢方医学に、物や考え方の両面でインドの影響は無視できない。
インド系の生薬やカレーには、体温を上昇させたり、脳血流を増加させたり、代謝を上げたりする成分が含まれており、もっと意識的に使ってよい。

続いて三村直巳先生による「灸治療の実際とその作用機序」。お灸は大好きで、自分でも疲労回復やリラックスのために愛用しているが、アトピー性皮膚炎や気管支喘息の治療例の紹介もあって、おお、ここまでやれるか、と目を啓かれた。
メカニズム研究のトレンドは、TRPチャネルに向かっているようだ。インド系生薬やカレーのスパイスも、TRPチャネルを刺激するものが多い。TRPチャネルを介して、カレーと灸が繋がったのもおもしろかった。

昼休み、三四郎池の畔で昼食。
朝、コンビニで買っておいた300円ほどのおにぎり弁当。


午後。
板倉英俊先生の「日本漢方と中医学を学んで」。循環器科の医師から東洋医学に転身。まず中医学を学び、ついで日本の漢方も学んだ板倉先生、非常に生真面目なで、西洋医学、中医学、日本の漢方、どれも正面からしっかり学ばれ、それぞれの特徴を見据えて比較しつつ、どれも否定せずに、統合していこうとされる。正に英にして俊。こういう方に、日本の漢方の未来は担われて発展していくのだろう。中国での生薬の使用量が日本の何倍も多いのは、実は小さく刻むと見分けがつけにくいので品質に対する信頼が得にくいため、という要素もありそう、などという現地で実際に学んだ人にしか見えない洞察も、非常におもしろかった。

杉山清先生の「大黄甘草湯を含む下剤の適正使用とアクアポリンの機能」。マグネシウム剤は、単に腸管内浸透圧を上げて腸管壁を隔てての水分移動の方向を逆転させるだけではなく、AQPの発現を増やし、水分移動の量、スピードを上げる。大黄などの刺激性下剤はこれに対して、炎症性の機序を介して腸管壁のアクアポリンを減少させ、水分吸収を減少させる。従って、塩類下剤と刺激性下剤を併用すると、塩類下剤の効果を刺激性下剤が打ち消してしまう。おお! 目からうろこ。

午前10時から午後3時半までみっちり。どれも非常におもしろかった。
ただ、東大の講堂は椅子が悪くて、腰をやられた。参った。

帰り、新横浜のホームに母親を訪問診療。
赤ん坊のような表情をしていた。

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