トリスタンとイゾルデ2016/11/12 23:41

メトロポリタン歌劇場の公演を映画館で見せる「ライブビューイング」。
初めて足を運んだ。
午後5時開演で、上映時間307分、終了10時7分。途中休憩2回。

イゾルデを歌うニーナ・ステンメが圧倒的だった。
10年近く前、チューリッヒ歌劇場公演で元帥夫人を歌ったのを聴いている。
その時も強い印象を受けたが、今回のイゾルデは、圧巻。
NYでの批評に「大自然の驚異」なんて表現があり、なんじゃと思ったが、
なるほど、そう言いたくなる感じはわかった。
強いけれど深く柔らかく、限界が見えない声。
ウェーデンの出身。フラグスタートから連なる伝統というようなことも、もしかしたらあるのか。
ラトル指揮のオ-ケストラが、ものすごく雄弁。これまでに聴いたどの演奏よりも、エモーショナルで劇的な演奏だった。

トリスタン役は、スチュワート・スケルトンというオーストラリア出身の人。
ゴリラのような体型で名前がこれかよ、と笑ってしまった。
マルケ王役のルネ・パーペ、ブランゲーネ役のエカテリーナ・グバノヴァは、盤石の支え。クルヴェナール役のエフゲニー・ニキティンというロシア生まれのバスが、すごい声のようだった。

この公演は、メトが今のリンカーンセンターに移転して50年の記念の年に当たるこの秋、シーズン開幕を飾った舞台ということらしい。それにふさわしい内容で、観客も非常に盛り上がっていた。

ライブビューイングのオペラは初めて見たが、ライブとも映画ともテレビとも違う面白さがある。音響には不満があったので、今度は別の映画館へ行ってみようかと思ったが、他の劇場では夜の公演が無いんだなあ。残念。

3回分の券を買うと割引になるので、それで買ってある。
あと二回は、ファビオ・ルイージが指揮する「ドン・ジョバンニ」、フレミングとガランチャが歌う「ばらの騎士」を観る予定。