異変?2015/12/13 12:09

一週間ぶりに庭に出てみると、メジロが死んでいた。

初夏に咲くスイカズラが、季節はずれの花をつけていた。

何が起きているんだろう?

前田りり子さんのテレマン:ファンタジア2015/12/13 18:27

「フルートの肖像」と題して、前田さんが続けているリサイタルシリーズの第12回。テレマンの無伴奏フルートのためのファンタジー全12曲が採り上げられた。

この曲集はフルートの名曲で、ランパルや有田正広さんなど有名な録音がいくつもある。曲集のうちの1曲がコンサートの中で採り上げられることもある。しかし全12曲を、それだけを採り上げるコンサートは、かなり珍しいと思う。それはそうだろう。数分の曲を12曲集めて、全部で1時間ほど。長いような、コンサートとしては短いような、半端な長さになる。しかも、わずか2オクターブちょっとの音域の単音で書かれた音楽だから、いくら技巧を尽くし手練手管を盛り込んだ音楽といっても、単調・退屈に陥るリスクは避けがたい。

しかし前田さんは、このシリーズが毎回そうであるように、演奏と同じくらい闊達で魅力的な語りを間にうまくはさんで、単調にも退屈にもならないように、全体を構成していた。

この曲集の特異な性格。
無伴奏の曲集は、バッハのヴァイオリンやチェロ、フルートの有名な曲があるが、この時代、ドイツ以外の他の国にはほとんど無い。それはなぜか。
しかもテレマンのこの曲集では、12の異なる調性で書かれた曲が、アルファベット順に並んでいる。バッハの平均律クラヴィーア曲集とも並べて考えるべき、野心的で先進的な実験性をもっている。
教会旋法と対位法によるルネッサンスまでの音楽から、調性と機能和声による古典音楽へ移っていく、その移行期のバロック音楽における、調の色合い。
そうした、音楽史的な背景を、具体的な曲に即して解説してもらいながら聴くコンサートは、とても魅力的だった。けっこうハードな1週間の後で、しかも3時間半の「妖精の女王」を聴いた後にかけつけたのだから、くらっと眠りに落ちそうになる瞬間は何度かあったけれど、そりゃ前田さんじゃなくてオイラの責任だ、もちろん。

実はこの数年、このテレマンの「ファンタジー」を自分でも吹いてみている。難しいけど、楽しい。前田さんの演奏を聴いて、まだまだやってみる気になった。

パーセル「妖精の女王」2015/12/13 19:07

北トピア音楽祭@王子に、昼から出かけた。
バロックオペラは、この音楽祭の、強力な「売り」だ。

今回の「妖精の女王」は、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」を原作にしており、オペラといっても、半分は演劇。音楽は、劇の付随音楽のようでもあり、そう言ってしまうには、あまりに時間的にも内容的にも豊富な、独特のものになっている。そうした姿をそのまま舞台にかける、という点では、日本初演になるようだ。

宮城聰演出の舞台は、野田秀樹の影響を強く感じさせるもので、この演目が必要とする祝祭的な浮遊を、獲得しえていたと感じた。それって、なかなかあり難い、起こり難いことだと思う。不満を挙げるのはやめよう。

音楽は、初体験。知っている曲は、キャスリーン・バトルがレヴァインのピアノで歌ったザルツブルクでのリサイタルのCDに入っていた一曲だけだった。雅な音楽。休憩20分をはさんで3時間半余りは、長かったけれど、退屈ではなかった。希少な機会に立ち会えて良かった。


指揮:寺神戸亮、演出:宮城聰、合唱・管弦楽:レ・ボレアード、俳優:SPAC、歌手:エマ・カークビー、波多野睦美、ヒュンター・ファンデヴェン、ケヴィン・スケルトン他