パーヴォ指揮N響のショスタコーヴィチ7番2017/09/16 21:40

午後2時までの診療を終え、昼食は朝買い置いたパン。
あわただしく終業処理をして、NHKホールでのN響A定期へ。
パーヴォ・ヤルヴィ指揮でショスタコーヴィチの大曲、交響曲第七番。
今週三回目のライブだ。

ショスタコーヴィチは、モーツァルト並みの音楽の天才と評された。
そう読んだことがあるような気がする。
それが妥当かどうか自分には判断できないけれど、
ショスタコーヴィチが書いた音楽を聴いていると、
モーツァルトのような魂を、現代の大量殺戮の戦争と恐怖の全体主義に放り込んだら
そこに何が生まれるか、という残酷な人体実験を観察しているような気持ちにはなる。

僕らの目が受け取っている光の波長はごく部分的なもので、
たとえば昆虫は、僕らに見えない花の模様を見ているようだ。
音についても、同様である。
僕らの聴覚は音の波長のごく一部を聴取しているにすぎない。
ショスタコーヴィチの音楽、特にオーケストラ曲を聴いていると、
極端に高い音、非常に低い音、極限的に弱い音、
聞こえるかどうかぎりぎりのところで大事なことが言われている気配があり、
その先、全く聞こえない音で実は一番大事なことが語られているのではないか
そう思わせられるところがある。

ずっしりと重く濃い1時間半だった。

月曜の「ドン・ジョバンニ」に続いて
今日もパーヴォの指揮は非常に良かったし、
ミュンヘン・フィルのコンマスがゲストで弾いていて、すごい存在感があった。
N響は、月曜とはほぼ全パートで主席が交代しているようだったが、
ソロの豊かさ、極限のfffで音の透明感、柔らかさが失われないエレガントさ、
相変わらず素晴らしい。